先日、中島敦の手紙展に行きまして
初めて書いた手紙と
初めてもらった手紙のことを思い出しました。
私は手紙が大好きです。
手紙を書くのも、もらうのも。
どんなに世の中が便利になって
簡単にメッセージのやり取りができるようになったとしても
手書きの手紙にはかないません。
相手の好きそうなレターセットを選び
お気に入りの場所で、心を落ち着けて手紙を書き
ちょっとしたサプライズを同封する。
紅茶のティーバッグとか
外国の切手とか
赤く色付いた葉っぱとか
海の写真とか
丁寧に封をして、可愛い切手を貼って投函する。
メールならほんの数分でできることを、1日かけて行います。
でも、それが楽しい。
この気持ちわかってくれる人いますよね?
誕生日当日に「お誕生日おめでとう」とメールが届くより
数日遅れてポストに届いた手紙の方が何百倍も嬉しい。
今日はそんな私のはじめての手紙の話です。
あなたは、
はじめて書いた手紙を覚えていますか?
はじめてもらった手紙を覚えていますか?
私がはじめて手紙を書いたのは、小学校1年生の時。
相手は6年生のジュンちゃんというお姉さんです。
私が通っていた小学校は全校生徒100人にも満たないような小さな学校で、
さまざまな行事は、1年生から6年生までの全校生徒がいくつかの班に分かれて活動します。
ジュンちゃんは私の班の班長さんでした。
1年生にとっての6年生とはとてつもなくお姉さんです。
ジュンちゃんはとても面倒見がよくて、私のことをいつも気にかけてくれていました。
長女である私にとって「頼れるお姉さん」という存在は初めてで、とても嬉しくて
ジュンちゃんのことが大好きでした。
ある日、
私はノートのはじっこを小さくちぎって
ジュンちゃんへ
とだけ書いた紙をジュンちゃんに渡しました。
本文のない、手紙とも呼べないような短い「手紙」です。
これが私の書いたはじめての手紙。
ジュンちゃん大好きとか
優しくしてくれてありがとうとか
また遊ぼうとか
そんな気持ちだったと思います。
なのに、私は本文を書かなかった。
書けなかったんです。
恥ずかしくて…
その小さなノートの切れはしを受け取ったジュンちゃんはとても喜んでくれて
次の日、きれいな水色の封筒に入った本物のお手紙を書いてきてくれました。
これが、私がもらったはじめての手紙です。
ジュンちゃんの字はとてもキレイで
私のことが大好きと書いてあって
私は嬉しくて、嬉しくて
何度も何度も読み返しました。
祖母にもらったお菓子の箱に入れて
私の宝物でした。
ジュンちゃんはそれからも時々、手紙をくれました。
手紙と一緒に折り紙が入っていたり、シールが入っていたことも。
人気者のジュンちゃんには友達がたくさんいて
なんと、ジュンちゃんの友達までが私に手紙を書いてくれました。
それなのに、
私はジュンちゃんに一度も返事を書きませんでした。
ジュンちゃんはお手紙をくれるたびに
「お返事待ってるよ〜」
「いつお返事くれるの〜」
と言っていました。
私はそのたびにヘラヘラと笑ってごまかして
結局、返事を書けないまま、ジュンちゃんは卒業してしまいました。
私は、自分の気持ちを言葉にすることが苦手な
本当に恥ずかしがり屋の1年生でした。
返事を書かなかったことを今でも後悔しています。
卒業してからジュンちゃんとは一度も会う機会がありませんでした。
私にたくさんのお手紙を書いてくれたこと覚えているかな?
もしもいつか、また会うことができたなら
今度こそお返事の手紙を渡したい。
いつか渡せるといいな・・・







