優しい人が好きです。
優しい人は、その人が思うよりずっとたくさんの人を幸せにしています。
ちかごろ、電車の中や駅のホームで体調が悪くなった方に遭遇することが度々ありました。
先日も、電車を降りると駅のホームにうずくまる女性。
近くには駅員さんに状況を説明しながら心配そうにしている女性がいました。
ああ、きっとあのかたはとても優しい方なのだろうな。
そんなことを考えながら駅から出ると、横断歩道で転んでしまった女性がいて、
あっと思った瞬間に近くにいた男性が駆け寄っていました。
ああ、あのかたもとっても優しい方なのだろうなあ。
優しい人に出会うと心がとても温かくなります。
それだけで幸せな気持ちになります。
世の中捨てたもんじゃないなあ、なんて。
優しくされた本人はもちろん、
半径数メートルにいる人たちはきっと、その優しさに救われています。
もう、10年以上も昔の話ですが、
福島から東京に向かう新幹線の中で私もそんな優しい人に助けていただいた経験があります。
満員の新幹線の中、自由席には人が溢れ、私はデッキの隅で荷物をたくさん抱えて立っていました。
ひどく喉が渇いていて、水が飲みたいと思った次の瞬間、
気を失ってしまいました。
気がついた時には新幹線の床に倒れていて、近くにいたスーツ姿の男性がとっさに頭を庇ってくれたようでした。
どこかにぶつけたのか顎の辺りがジリジリと痛みました。
その男性は、「大丈夫ですか?わかりますか?手にぎれますか?」と声をかけ続けてくれて、
次の駅に着くと、私のことを担いでホームに降ろし、駅員さんに引き渡してくれました。
朦朧とする意識の中、私はお礼を言うことさえままならず、連絡先を聞くこともできませんでした。
私のせいで新幹線を降りてしまって、その後の予定は大丈夫だっただろうかとずっと気になっていました。
そして、きちんとお礼を言えなかったことを今でも後悔しています。
今となってはもう顔も思い出せないし、
お会いして直接お礼を言うことは叶わないだろうけれど
それでも、あの時助けていただいたことを思うと
本当にありがたくて、感謝の気持ちでいっぱいになって、心が温かく、幸せな気持ちになります。
10年後の今でも私を幸せにしてくれるのです。
誰かのやさしさは人を幸せにします。
10年以上経ってもずっと幸せにしてくれます。
人の優しさはそれくらいパワーがあります。
だから私は優しい人が好きです。
そして私も優しい人でありたいと思います。