最近、昔住んでいた街によく行くようになりました。
これといった用事があるわけではなくて
何となくあのお店に行きたいなとふと思ったりして
それでわざわざ電車に乗って
１時間位かけて昔住んでいた街まで出掛けているのです。
その街に住んでいた頃は、
いろいろ、ちょっとしんどい事があって
引っ越す際には、
もう二度とこの街に来ることはないだろうなあ
と思っていたのに
今になって懐かしくその場所を歩いている自分に少し驚いています。
駅前のお気に入りの本屋さんは店員さんが変わっていて
置いてある本のテイストもなんとなく変わってしまっていて
少し寂しい気持ちになりました。
あれからもう何年も経つのだから
あたりまえなのですけど
みんなそれぞれに人生が進んでいっているんだなあと
そんなことを思いました。
それでも、
昔と変わらず同じ場所にあるパン屋さんだったり
食器屋さんだったり、カフェだったりの近くに行くと
あの頃の自分にふと出会ってしまいそうで
なんだかドキリとします。
そんなことあるわけないのに
今でもあの頃の自分がその場所にいるような気がして、こわくなってしまうのです。
かつて住んでいたマンションのすぐ近くの道を歩きながら
住んでいた部屋を見上げて
大丈夫、大丈夫だよ
もうすぐ全てうまくいくよ
心配いらないよ
怖れているようなことは何も起きないよ
思わず心の中でそんな言葉がこぼれました。
まるで
あの頃の自分に語りかけるように
あの頃の自分に届くように
その時、ふと思ったのです。
ああ、これはあの出来事を乗り越えるタイミングだと
今のわたしが過去の自分を癒すために、この場所にまた来たくなったのだなと
そういえば、あの頃
心が折れてどん底まで落ちた時
なぜだかわからないけど「きっと大丈夫」って思いが心の奥の奥の奥底で
あたたかく湧き出る温泉のようにじんわりと沁みていたのでした。
もしかしたらあれは未来の私からのメッセージが届いていたのかもしれないなあ。
過去の自分を自分で癒す、そんな話をどこかで聞いた気がします。
確かにそういうことってあるかもしれません。
誰にだって思い出したくない経験のひとつやふたつ、きっとありますよね。
でも、ずっとその苦しみを引きずって生きるのは辛いから。
どこかのタイミングで乗り越えるきっかけがあるのだと思います。
私にとって今がそういうタイミング
だから今、あの街をもう一度歩きながら、あの頃の私に語りかけているのだと思います。
頑張ったね、辛かったよね、
でも嬉しいことも、幸せなこともあったよね。
過去の辛かった思い出が癒されていくその過程の、今まっただなかにいます。
下鴨神社への参拝も過去の私に会いにいく旅でした。
