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理想の娘にはなれなかったけれど・・・

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父と一緒に見た桜の花をプリントしてフレームに飾った。

桜のピンクと空の水色は、大好きな組み合わせ

目に入るたびに思わず笑顔になる。

 

父と出かけたのなんて、本当に何年ぶりだろう。

思い出せないほどに久しぶりだった。

そもそも、父と一緒に出かけること自体ほとんどなかったから、考えてみればとても貴重な出来事だ。

 

強くて、大きくて、怖いとさえ思っていた父も、足腰の痛みで歩く姿が弱々しくなっていた。

 

父の期待になんにも応えられなかった私。

父の背中を見ていたら泣けてきた。

 

「お父さん、桜と一緒に写真撮ってみる?」

断られるかと思ったけれど、父は何も言わず帽子をとってこちらを向いて立ち止まった。

 

口を真一文字に結んで、ただ直立している父と桜が一緒に写るように私はしゃがみ込んで何枚も写真を撮った。

そんな私の姿がおかしかったのか父が思わず笑った瞬間のよい写真が撮れた。

またこうして父と一緒に出かけよう。

 

父の望むような理想の生き方はできなかったけれど

私にできることは父をほんの少しだけ笑顔にすることだから。